夏休みの講演行脚も、いよいよ終盤となりました。残すところあと二つ。そして来週は教育心理学会でのシンポを企画しております。この週末は、この準備に没頭したいところです。

 

さて、この夏もいろんな出会いがありました。どこの会場も講演の後に30分ほど、いろいろなお話をして、講演内容を振り返ったり、教育現場の実状を聞いたりと、これがなかなか楽しかったりします。

 

もっとも、私、講演中は「ゾーン」に入っており、自分が自分でなくなり勝手に脳が話し出していますので、終わってからの「自分に戻る時間」が必要です。

 

ここでちゃんと素の自分に入れ替わらないと、後で大変なことになります。テンションは高いまま、ひどい不眠になり、そのまま次から次へといろんなアイデアが浮かび、最後は寝てなどいられなくなる・・・躁状態ですね。

 

最近、このあたりのコントロールが随分と上手くできるようになりました。なので、以前よりはずっと上手に体調管理できていますし。すごい成長です。

 

さて、今年の夏ほど講演テーマがバラエティに富んだ年はなかったような・・・多分、持ちネタをほぼすべて、どこかで必ず話しています。

 

特に多かったものが、「保護者との協働について」のお話でしょうか・・・。みなさん、とても苦慮されているので、この話が一番喜んでいただけたようです。

 

ちなみに、私は以前、それこそ保護者にさんざんなことを言われ、自分の人格を否定されたことも一度や二度ではありません。

酷い時には、保護者に自宅まで呼び出され、お子さんの父親から半ば恫喝され、最後は「市長をここへ連れてこい!!」と無理難題を言われました。

「そんなん、無理です」と伝えると「なんやと~」と、さらに怒鳴られる始末。もっとも、これ、私が起こした問題ではなく、前の担当者が心の病で戦線離脱し、やむを得ず私が引きついだケースだったので、どこか他人事のようなところもありまして・・・。

それに加え、私は、基本的に争い事がとても嫌いな性格でして、ことを穏便に済ませたい。だから、「なんとなく」「やんわりと」そして「歯切れのわる~い対応」をしていて、相手を怒らせていることはわかっていました。

じゃ、もとの問題はどこにあるのかと言うと、前の担当者は、子どものことを第一に考え、親の考えを頭から否定したことにありました。

つまり・・・どっちの対応も、ただ火に油を注ぐことになり、「お前にいくら言うてもしゃない、市長呼べや」となったわけです。足して二で割れたら、よい対応ができたのだろうか・・・随分と悩みましたが、最終的には、親御さんの言うことも一理あると思え、明らかにこちらに問題があったとずいぶん経ってから思えるようになりました。

 

で、ここまでこじれるまで、私がたった一人で、孤独に対応していたかと言うと、そういうわけでもなく、まだまだ若い時の話なので、逐一「ほう・れん・そう」しておりました。

課長、部長まで話はいっておりまして・・・(当たり前なのですが)。

すっかりまいっていた私を励まそうとでも思っていたのでしょうか。ある晩、課長が「ちょっと飲みいこか」と誘ってくれまして・・・酒を酌み交わしながら

 

課長「最後は、わしいくから、今は踏ん張りよ・・・。まぁ、あまり、はよぉから上のもん行くと、後が難しいでな・・・最後は、わし、いくから・・・」

 

と励まされ・・・

 

私 「・・・(いや、今がその「最後」やねんけど・・・先方、ラスボスの市長求めてんねんから・・・正直、「今」、出馬してもらっても、役不足思うねんけど・・・泣)」

 

この時からですね、もっと学ばなければと思ったのは。

要は、自分に「技術」と「信念」がなかったことがここまで話をややこしくしていたのですから。

 

おかげさまで、その時以来学んだ交渉術や、心構え、そして納得してもらうサービスを提供するための技術をたらふく学ぶことが出来ました。

今は、その経験をお話しさせていただいています。すべて実践済みですし、数多くの失敗と言う高い授業料を払ってきましたら、少しは現場の役に立てるお話になっているかと思います。

 

文科省は7月23日に「学校現場における業務改善のためのガイドライン」を公表しています。それによると、研修会などのレポートや報告書の作成や、保護者等からの要望や苦情に、7割以上の教員が負担を感じているそうです。

内容はともかくとして、この調査の回収率が100%と言うところに、とてもビミョーな気持ちになりました。先生方のココロの声が聞こえてくるようです。

 

ココロの声1 「どうか、この調査結果を踏まえ文科省の方々、なんとかしてください・・・」

 

いえいえ、違います。多分、本当のココロの声は次の方です。

 

ココロの声2「なんや、これ・・・。この忙しい時に・・・。出さないと、いろいろ言われるんやろな・・・」

 

調査の類が負担になっているわけですから・・・「調査だけして、何が変わるのですか!」って、みなさん考えられているわけで、そこに対する具体的な政策を提供するならまだまともな考察のように思います。

 

さらに考えてしまったことは、

 

私の講演にお集まりいただいた皆様も、保護者との協働がうまく行かない事に苦痛を感じ、講演会に参加してくださったにもかかわらず、学校に帰って、研修会のレポートを書くことにさらに苦痛を感じているとしたら・・・

 

とても、複雑な気分になりますね。誰かの役にたつ書類なら意味もありますが・・・

 

そこで、講演に参加いただいた皆様へ・・・私の研修資料、アップしておきます。報告書の作成にあたっては、コピペしちゃってください。

もし、時間があれば雑談や、酒の肴としてお役立てください。わたくし、そのためにジャンジャンアップしちゃってますから。

 

そして、もし何か一つでも得るモノがあったならば、それは仕事の中で子どもや保護者に還元してください。