障害のある生徒にもない生徒にも、ライフスキルの重要性が言われています。ライフスキルとは、簡単に言ってしまえば「生きていくために必要な力」と言えます。
世界保健機関(WHO)は、ライフスキルを「日常の様々な問題や要求に対し、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」と定義しています。
中でも最も重要な項目に(1)意思決定能力、(2)問題解決能力、(3)創造的思考、(4)批判的思考、(5)効果的なコミュニケーション能力、(6)対人関係の構築と維持能力、(7)自己認識、(8)共感する能力、(9)感情を制御する能力、(10)緊張とストレスに対処する能力
としています。
少々わかりにくいのですが、要は「自律した生活」を送る上で必要な力と考えればよいかと思います。
朝起きて、寝るまでにしていることは、ほとんどがライフスキルになりますし、人と接した時にあれこれ気をつかったり、休日の余暇の過ごし方などもこのスキルに含まれます。
入所施設などでお話を聞かせてもらうと、高齢の入所者の方は、身辺のことを自分で出来る方が多くいると伺います。中でも縫物などを自分でする方が結構いると聞きます。どうやら時代によっては、服や着物が破れたら自分でなおすことが生活であたり前であり、生きていくために親御さんが「必死になって教えてきた」と施設長さんが話されていました。一方、こうしたスキルを身につけている方の多くが、余暇の過ごし方のレパートリーが少ないことが問題となっています。
ライフスキルは、時代の鏡でもあるようです。この時代に大切にすべきライフスキルとは、何なのかを考える必要がありそうですね。
さて、ライフスキルと言えば、自分自身の生活について振り返る必要があります。私の1日と言えば朝起きて、顔を洗って1日が始まります。整髪は、紙が短いのでしませんが、髭は伸ばしているので揃えます。
食事、掃除、洗濯なども自分で行っていますが、一人暮らしとなると計画的にこれらを行っていかなければなりません。「今日は面倒だな・・・」などと考えているとたちまち生活が乱れます。
生活の乱れは心の乱れなどと言ったりしますが、これはある意味あたっています。と言うより、忙しくなって、気持ちにゆとりがなくなり、また忙しくなり疲れがたまると、次第に覚醒水準も下がり「注意の持続」の点でいろいろな困難が出てきます。「片付け」と「注意」の関係が密接に関係していることをこの時に実感します。
いずれにしても1日の流れは連鎖していき、それが一週間になり、一年に繋がっていくことになります。安定した生活になるのか、それとも荒れた生活が続くのかは、結局の所、毎日の積み重ねなのですね。となると「持続的に一瞬の生活を、どのように管理していくのか」と言うことも、長い期間を見通して検討されていかなければなりません。
話は変わりますが、ライフスキルに関連することとして「身だしなみ」があります。私は男性なので人生においてあまり考えたことはありませんが、女性であれば「化粧」がこの中に入ります。女性の化粧は「身だしなみ」の中では重要なスキルとなると言われています。私は化粧をする習慣がありませんので、よくわかりませんが毎朝、化粧をすることも、帰ってから化粧を落とすことも大変な作業だと思っています。
一方で、化粧が心理的に生活の中にどのように作用しているのかを考えることもなかなか面白いものです。このあたりも、男性にはわからない心理ですが・・・(化粧をするかどうかで性を議論することは間違っているのかもしれません。すみません、異論のある方ご意見ください)。
数年前の卒業生が「綺麗はつくれる」と言っていましたが、化粧スキルを身につけることで随分と積極的な行動が増えた事が、一昨年度に行った研究でもわかっています。もちろんすべての人がそうであると言い切れませんが、心理面において肯定的に作用することをねらったセラピーなどもあるので、いろいろと実践をしていくことは面白いかと思います。
今回は、化粧スキル研究の第三弾です。今回は、特別支援学校に通う知的障害のある生徒達への化粧指導プログラムになります。テキスト、動画(i Pad)の作成、そして歌(お化粧の手順をラップ調にしたもの)を使っての指導です。卒業論文の紀要はこちらになります。
また、研究の成果の測定過程で思わぬ課題が明らかになりました。このあたり、学生と対談しています。
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